長編

ドラッグストアへようこそ 64

 とうとうその日になった。 数日と思っていたのに過ぎるのは早い。 その数日、毎晩男漁りに行った。成果はあったものの前ほどではない。元気は多少出たのだが。 いったい前に行ったときのは何が奏功したのか。 朝からベータはこの後…続きを読む

ドラッグストアへようこそ 63

—————それでも、明日には全部、作業終わる。 クレアの家で思った『THE END』がちらつく中、塗料の入れ物に蓋をする。 ついうっかり入れ物を倒したりはしなかった。 カウンターの上に瓶とかもなく、片付いている。 そうい…続きを読む

ドラッグストアへようこそ 62

 翌々日の昼下がりは良く晴れていた。 塗装日和。「朝からやったほうが効率がいいが」「早起きしても午後からが限界のサキュバスへの当てこすり?」 ベータはフォニーを一瞥し立ち去る。そそくさ、という形容詞がぴったり。—————…続きを読む

ドラッグストアへようこそ 61

「ふ~ん」 子ども向けイベント開催中は特にどうということもなかったのだが、応接室に戻った時にはクレアがニヤニヤしていた。 ドアを開けた時に瞬時にベータはフォニーを見て、フォニーがその表情を確認することができないほど凄い早…続きを読む

ドラッグストアへようこそ 60

 裏口のドアを開けると、ベータが立っていた。「起きたのね」 ベータはけだるげにウンとかスンとか言いながら、のそのそしている。 頭はまだ働いていないような。コップに水を汲むのも億劫な様子。「ちょっと、寝るかそっちに座ってな…続きを読む

ドラッグストアへようこそ 59

 どんどんと上昇し、街の明かりを星空を見るように眺める。背後を振り返ると、細い細い三日月。—————アガリを集めたら、納めていなかったものを納めることができて、魔界に…。「あ。帰れないじゃない」 そうだった。通行証がない…続きを読む

ドラッグストアへようこそ 58

 目が覚めた。 寝落ちした時と全く変わらない位置。毛布にくるまっており、辺りが薄暗い。 ベータの腕の重さもそのまま。—————出るか。 ベータを起こしては悪いので、極力そろ~っとベッドから抜け出した。 当の本人は全く起き…続きを読む

ドラッグストアへようこそ 57

 どんちゃん騒ぎも今は昔。 裏庭はほぼ元の裏庭に戻っていた。 ついでに元々あったゴミも片付けてくれたらしく、いつもよりスッキリ。 蟻の魔物も全ていなくなり。豚も蛇もその他よく分からん奴らもみーんないなくなり。 国軍の衛兵…続きを読む

ドラッグストアへようこそ 56

 立ち上がった魔王ら。「じゃあ、またね」 美魔女達はさらりと挨拶を交わし、玄関に向かっていく。 足元が多少ふらつくかと思いきや、しっかりとした足取り。 マンドラゴラ一〇〇がなかったからだろうか。だとしたらフォニーの責任で…続きを読む

ドラッグストアへようこそ 55

「もうそろそろお開きの時間だから…」 デミタスは時間を正確に測っていた。 自分が逃げ出す算段を付けるため、時計と辺りを交互に見まわしている。 ベータは大丈夫だろうか。 魔界のトップのなかに混ざった人間。親子水入らずという…続きを読む