「特に戦争末期には小型も含めて本当にほぼ出なくなって。 今はまた大型も含めて幾分か戻っているようですけどね」 ジョットの身に覚えがある現象をつらつらと口に出すキシアス。「能力の高い魔法使いの方なんですね。 そんな大量討伐…続きを読む
長編
領主館へようこそ 67
ティータイムも終わり、3人を森の入り口に案内する。 キシアスが崖のほうをチラリと見やり、領主館を見やり、離れを見やった。「では、ご案内ありがとうございます。ここから先は我々で」「ええ。宜しくお願いします」 そのまま森に…続きを読む
領主館へようこそ 66
「いや、いいんだ。十分うれしいからさ…僕はそろそろ部屋に戻るよ」 自分の分のティーセットをかたずけようとしたら、ユンに静止された。「じゃあお願い」 ダイニングの入り口へと向かいはじめると、ユンはランタンをもって立ち上がっ…続きを読む
領主館へようこそ 65
ユンを目の前にジョットの口からはつらつらと嘘が躍り出る。「元々は…個人でやってる輸送船の経理兼手伝い要員だったんだ」 あの日からあの人と、途中から増えたチリカ、ベータと4人での逃亡生活。「本当にお世話になったし、お世話…続きを読む
領主館へようこそ 64
ユンが何かを探ろうとしている訳ではない。 それでもここ数日の出来事は、ジョットに疑心暗鬼をよぎらせるに十分だった。 心を静め、「…10年ちょっと前かな」「じゃあ戦争が終わる、あの頃に先代から?」「うん」 普通だ。でも、…続きを読む
領主館へようこそ 63
犯してきた過去がすぐ後ろに迫っている。 山賊だったトレビスを村長にスカウトした時はなんとも思わなかったどころか、寧ろ…。─────ユンさんは本当に、何も、全く知らないんだ。 仔細が分かった今朝、魔物の調査担当が来ること…続きを読む
領主館へようこそ 62
「貿易関係ご一行様じゃなくて、魔物の調査担当になったかも?」 祭りの準備の合間を縫って当日の算段をしにわざわざ領主館まで連絡に来た村長。 ジョットはその彼が併せて出してきたセリフを聞き返した。 恐れていたことが起きたかも…続きを読む
領主館へようこそ 61
なんだかんだで心配なのだろう。コビ・シロヒゲ・みどりちゃんに、「お前達、おとなしく暮らせよ」 3人の元気なジャンプ。 元気にやれるだろうがおとなしくするのは無理だと悟ったらしいため息だ。 実はジョットは──本人に伝えた…続きを読む
領主館へようこそ 60
─────なんかムカつくけどもういい大人だ。 ジョットは言い聞かせて表面的な雰囲気を取り繕った。 ベータは元々引きずらないほうだから──もしかしたら今回ばかりは内心は…でも、見たところだけは取り繕えているから──大丈夫。…続きを読む
領主館へようこそ 59
「大丈夫」 ベータは離れの小屋の窓の外にある岩場から手を放した。「そっか」 窓を閉めると、崖の岩肌が窓枠に囲まれた絵のようだ。 夕食から一晩明けて、今、ジョットとベータは離れの小屋にいた。 外にはユン。 さっきお湯を火に…続きを読む