長編

ドラッグストアへようこそ 61

「ふ~ん」 子ども向けイベント開催中は特にどうということもなかったのだが、応接室に戻った時にはクレアがニヤニヤしていた。 ドアを開けた時に瞬時にベータはフォニーを見て、フォニーがその表情を確認することができないほど凄い早…続きを読む

ドラッグストアへようこそ 60

 裏口のドアを開けると、ベータが立っていた。「起きたのね」 ベータはけだるげにウンとかスンとか言いながら、のそのそしている。 頭はまだ働いていないような。コップに水を汲むのも億劫な様子。「ちょっと、寝るかそっちに座ってな…続きを読む

ドラッグストアへようこそ 59

 どんどんと上昇し、街の明かりを星空を見るように眺める。背後を振り返ると、細い細い三日月。—————アガリを集めたら、納めていなかったものを納めることができて、魔界に…。「あ。帰れないじゃない」 そうだった。通行証がない…続きを読む

ドラッグストアへようこそ 58

 目が覚めた。 寝落ちした時と全く変わらない位置。毛布にくるまっており、辺りが薄暗い。 ベータの腕の重さもそのまま。—————出るか。 ベータを起こしては悪いので、極力そろ~っとベッドから抜け出した。 当の本人は全く起き…続きを読む

ドラッグストアへようこそ 57

 どんちゃん騒ぎも今は昔。 裏庭はほぼ元の裏庭に戻っていた。 ついでに元々あったゴミも片付けてくれたらしく、いつもよりスッキリ。 蟻の魔物も全ていなくなり。豚も蛇もその他よく分からん奴らもみーんないなくなり。 国軍の衛兵…続きを読む

ドラッグストアへようこそ 56

 立ち上がった魔王ら。「じゃあ、またね」 美魔女達はさらりと挨拶を交わし、玄関に向かっていく。 足元が多少ふらつくかと思いきや、しっかりとした足取り。 マンドラゴラ一〇〇がなかったからだろうか。だとしたらフォニーの責任で…続きを読む

ドラッグストアへようこそ 55

「もうそろそろお開きの時間だから…」 デミタスは時間を正確に測っていた。 自分が逃げ出す算段を付けるため、時計と辺りを交互に見まわしている。 ベータは大丈夫だろうか。 魔界のトップのなかに混ざった人間。親子水入らずという…続きを読む

ドラッグストアへようこそ 54

 あれから3時間。 グダグダは、一時的に戻ったり緩んだりを繰り返しながら緩やかに深刻度を増していた。 途中、マンドラゴラ八〇が追加で1本なくなり、間でひっそりとベータが作ったマンドラゴラ一〇〇風の特製の酒が出されたのだが…続きを読む

ドラッグストアへようこそ 53

 宴会開始から五時間。 月と星は薄曇りのすき間から結界の中にあるこのベータ宅にも光を入れていたが、そんなもの目じゃないくらい、料理人たちの手元の明かりが煌びやか。 調理場の緑や紫の炎、小競り合いのオレンジの焔、黄色の煙。…続きを読む

ドラッグストアへようこそ 52

「ドアを開けた時はリミッターが外れて軽く漏れた程度だ。その押さえが完全に取れて、叫んだり泣いたりすると一気に放出される。 放出した魔力はあまりにも密度が高い。一斉に放出された魔力は、並みの魔族だと体の中にある魔力を弾き飛…続きを読む