長編

カラス元帥とその妻 8

 結婚式から二十五日。寝る前にバイオリン弾くのも習慣化してきた。それでも私のほうが先に寝るけどね。  旦那は仕事。私はお昼ご飯も食べ終わって、さて、何しよう。  寝室は片付けたし、客間も片付けたし。やることないわねぇ。 …続きを読む

カラス元帥とその妻 7

 結婚式から二十日。  家事は完璧。料理は…聞かないで。ホントに。  これだけ経つと、家の中の役割分担もはっきりしてきたみたい。  稼ぎ手はあの人。お金の管理はグレイ。庭の手入れと力仕事・日曜大工はマイケル。同じく庭の手…続きを読む

カラス元帥とその妻 6

 朝ご飯はあの人が部屋に持ってきてくれたけど、あの人その後一体何やってたのかしら。  普通お休みって言ったら、やっぱりピクニックとか行くものじゃないかな、とか思って、実はちょっと期待してたのにな。  もう昼過ぎだし、無理…続きを読む

カラス元帥とその妻 5

あ~あ。失敗失敗。手に持ってるお皿落としそう…。 「そんなに落ち込まなくても大丈夫ですよ。私も最初はそんなんでしたから」 「…ありがとう」 「それに残さず食べてくれたじゃないですか」 でも、不味かったのは事実。 七歳も年…続きを読む

カラス元帥とその妻 4

 結婚式から十四日目。  家事はもうドンと来いって感じになってきたわ。  ヤナも、『アカエ様が手伝ってくれるので私はとっても楽です』って言ってくれた。  ただし。  まだ、一つ残っているの。それは。  料理。そう。お料理…続きを読む

カラス元帥とその妻 3

 結婚式から五日。  私が真っ先に悟ったのはこれ。 「暇!」  しまった。思わず独り言。  だって、向こうにいたころは、それなりに付き合いだのなんだのあったのに、こっちにはあんまりそういう風習がないらしくって。  国王と…続きを読む

カラス元帥とその妻 2

ああ。何かしら。この沈黙。仮にも夕食。ディナーよ。ディナー。五人も人がいるのに。 私だってしゃべったわよ。最初は。でもこの人ったら、『ああ』か『いや』しか言わないんだもの。 「仕事、どうでした? 何か変わったこととか、あ…続きを読む

カラス元帥とその妻 1

何でこうなったのかって? こっちが聞きたいわ。 私、これでも隣国の姫だったのよ。今は違うけど。 そもそも、なんで私がこんなところにいるのかっていうのが先よね。 最初は、見合い話だったの。この間結婚した、この国の国王とのね…続きを読む

カラス元帥とその妻 プロローグ

 その儀式は、厳かに、かつ盛大に行われた。  国王の結婚式。  若くして王位に就いたこの王は、古くからの慣習を数多く破ってきた。  そして今回もまた、破った。  彼の妻となったのは、一介のメイドだったのだ。無論、賛否両論…続きを読む

男性化志望者とその友人 あとがき

 最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。めでたく完結いたしました。  本作品において後悔しているポイントは一つです。  そう。コメディーにならなかったことです。極力コメディー路線を保とうとはしたのですが、どん…続きを読む