いい朝。 で、昨日はあれからどうなったのかというと。 何もなかったわ。ええ。何も。お風呂に入って寝ただけ。 しかも、二人同時にベッドイン! だったのに、何もなかったわ。 ご期待に添えなくて申し訳ないわね。でも、…続きを読む
長編
カラス元帥とその妻 17
『アカエなら絶対そんな台詞は言わない』っていうのは、惚気じゃなくって厭味じゃん。 なんか聞き損。 「…どうかなさいましたか?」 「いいえ別に」 いいかげんニヤニヤしたその面どうにかしろっての。 「お互いがその様子じ…続きを読む
カラス元帥とその妻 16
もう一杯。 「おにいさん、バカルディ」 「…か…かしこまりました」 やっぱりだめだったか。こいつも。 左側を見る。 突っ伏している男。右にもう一人。床に座り込んでいる男は二人。 合計四人。 前述のとおり、私、…続きを読む
カラス元帥とその妻 15
一日経つと落ち着くものね。今朝はピリピリしたけど。 グレイは普通だった。ヤナとマイケルは…明らかに怯えてた感じ。 あの三人には、悪いことしたわ。 でも、それも慣れよ。慣れ。私は大丈夫。 「奥様」 「なぁに?」 …続きを読む
カラス元帥とその妻 14
しかしやっぱり暇だわ。 舞踏会って言ったって、そんなに用意するものはないの。あと九日じゃあ。 ドレスなんかは嫁入り道具として結構持ってきてるから、それを使えば良いし、小物だって、使いまわせば全然オッケー。 旦那は…続きを読む
カラス元帥とその妻 13
「ごちそうさまでした」 食器を洗う私。ヤナは洗った食器を拭いている。 「ねえ、どうしてあの人、舞踏会の日にち、教えてくれなかったのかしら」 「さあ…私には見当もつきません」 あ、いま嘘ついたわね。伊達に付き合い長くな…続きを読む
カラス元帥とその妻 12
結婚式から二十七日目。 特に、異変なし。 っていうか、ないとマズいのに、何にもなし。 確かに、『アカエは馬鹿だ』とか何とか言って抱き寄せてきたわよ。 あの時は私だって、よっしゃあこれで無言夫婦生活脱却か!? っ…続きを読む
カラス元帥とその妻 11
「ここだ」 古めかしい扉。っていうか家自体が結構な年代モノだから、どの部屋でも一緒か。 その部屋は物置同然に散らかってる…はずがない。だって、私が片付けたんだもの。当然よ。 でも、片付けたときにも、そんなに変わった…続きを読む
カラス元帥とその妻 10
晩御飯済んで、お皿片付けて、旦那は…よし。いない。 「グレイ、ちょっと聞きたいんだけど…昼間のあの役人が言ってた…」 「旦那様に直接お聞きになってください」 いつもはゆっくりした話し振りなのに、いやにピシャリと言うじ…続きを読む
カラス元帥とその妻 9
「結婚生活はどうです?」 「ええ。上手くいってますわ」 あの人は何にも喋らないから、ヤナが話し相手。 あの人は私に興味ないみたいだし、実を言うと他に誰か女がいる可能性まで考えてる。 私も実際あの人のことそこまで好き…続きを読む